「同じ空の下で…」

「…どうせ、今日も『艶香、からかうのおもしれー』とかのオチなんじゃないの…?」

なるべく瞬の目を見ないようにして目を泳がせながら私は答える。



「…そんな風に言われちゃうとさぁ、今丁度2人きりだし、俺も段々理性が無くなってきちゃうんですけどぉ・・・・?」

…理性が無くなる?

2人きりだと、理性が無くなる?


「・・・・?何、ソレ、どういう意味?」


「ありったけの理性で自分抑えてんの、今。だけど、今、艶香を抱きしめたくても、俺、昨夜は風呂も入ってないしぃ~、昨日の服のまんまだしぃ~・・・・。」

「・・・・?」


いつもよりもトーンが低い上早口で、さらにブツブツと子供が拗ねて文句を言ってるような瞬の言葉が上手く聞き取れずに居た私は、沢山の疑問符で頭がいっぱいだった。


「キスしたいけど俺的に今、歯も磨いてないしぃ~、そんな自分に納得いかないからキスしないけどぉ・・・・艶香はそんな俺に応える気持ちはある?」

「…へっ?」

やっと瞬が言いたい事を理解出来たとしても、どうせまた…って言う感情が先に脳裏に浮かぶ。


また、そう言う事を言ってからかってるんでしょう?楽しんでるんでしょう?…と。



「艶香、これは真面目に聞いてる。」



いきなり真剣な眼差しで今までに見たことの無いような強い眼力で私を見る瞬。

その様に圧倒され、身体が固まって、言葉が上手く出て来なかった。
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