壊れかけの時計
化粧直しを終えた私は、手短に愛海にメールをした。
先に帰るとだけメールすると、すぐに気をつけてねと女の子らしいメールが返ってきた。
ふぅっと一息ついてトイレを出ると、
スラリと長い影が私を待ちわびていた。
「っ」
「どーも。キサラギサン?」
彼は廊下に腕を組んで寄りかかっていた。
そんな姿も絵になっていて、少しばかり悔しいと唇をかみ締めた。
「・・どーも。カグラクン!」
にっこりと笑みを浮かべて見せたら、案の定微笑み返された。
性格が悪いのも、どうやら変わっていないようだ。
「―――いいこにしてた?花音。」
彼はいつも、挑発的な目で私を見る。