壊れかけの時計
「久しぶりに再会したのに、―――それだけ?」
そのまま腕をグッと引っ張られて、グンと顔が近づいた。
「…何が言いたいの?」
彼の目をじっと見つめていると、不機嫌なのが伝わってきた。―――機嫌をそこねた王様は、その綺麗な顔をゆっくりと近づけてきた。
きっとこのまま、キスでもする気なのであろう。
―――でも、そんな簡単にキスをさせるわけがない。そんなの、私のプライドが許さないのだ。
だって…そんなの、そんなの自分勝手すぎるのだから。ほっとかれていた私の気持ちも知らずに、自分勝手すぎるのだ。
あと数センチのところで、私はフイッと顔をそむけた。
「…。」
当然、男も眉を寄せてこっちを睨む。
後頭部に添えられていた手に力がこもる。
「…こっち向けよ。」
「(絶対向いてあげない。)」