壊れかけの時計
「・・結局、迎えなんて来てくれないじゃない。」
そんな独り言は、一人暮らしには広すぎる部屋にポツリと消えていった。
洗面所で自分の整いすぎた顔をみて顔を歪める。
自分で言うのもなんだが、私の顔は整っているほうだ。
どこぞのケータイ小説みたいに自分の容姿に鈍感すぎるバカとは違うのだ。
―――小さいころから「かわいい」とか「きれい」とか
言われ続けていれば、お世辞かお世辞じゃないなんてわかる。
”あの人”がいなくなって、さらに歪んだ私の性格は私を強くさせた。
この容姿を利用することも、覚えた。
今は表と裏の顔使い分けてキャンパスライフを平穏に過ごしている。
素の私を知っているのは、家族と唯一の親友と―――”あの人”だけ。