壊れかけの時計
「あのねっ、今日その合コンに好きな人来るの♪」
「へー。」
「もう、あからさまに興味ないように言わないでよねっ」
「はいはい。」
彼女は案外気まぐれで。
好きな人がコロコロ変わる。
まぁ、どれも全力で本気なのだけれど熱くなりやすくて冷めやすい性格なのよね。
「楽しみだなぁ。」
私の隣でうっとりしている愛海を見て笑みを垂らしながら、私はまた”あの人”のことを考えていた。
この時、私は知らなかった。
部屋にかざってある壊れた時計が―――再び、動き出したことを。
壊れた時計がまた、壊れかけの時計になったことを。
壊れかけの時計
(それはきっと、)
(私の心。)