チャットの貴方に恋をする


その後、私達は好きな本のことや音楽のことを話した。

私達が暮らす町は温泉が2つあるぐらいしか有名なものがない田舎町だ。

遊び場もあまりなく、現在では珍しく公衆電話が結構生き残っている。

この町が出身の偉人もいるのだが、世界初の世界一周か何だかわからないことをしたにも関わらず教科書にも載れてない人だし、私も小学生の時に知った時は「アンタ誰やねん」と言ってしまったほどだ。


こんな田舎町だ。だから私達が遊ぶ場所と言えばこういう神社ぐらいしかないのだ。

「嫌だね。田舎町って」

「分かるよそれ、せめて本屋位あればいいのに」

私は青空を見ながら呟く。瑠璃ちゃんも田舎町は不便だと思ってるらしい。

「ねぇ、瑠璃ちゃん。恋の定義って何なんだろうね…」

「さぁ?ドキドキしたり嫉妬したりしたら恋だけど、定義なんて無いんじゃない?」

「定義がない…か……」

定義がないものは苦手だ。基準がないと漠然として分かんないものが増えるから。基準があれば、それがどんなものか分かるから。

「定義が無いんじゃ、分かんないよ………」

「でも、定義が無いから面白いっていうのもあるよ?」

「そうだけど…」

それでも、定義が無いのは私として嫌なものだ…


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