ケータイ彼女に恋して


俺はミズキの言葉に我にかえり、少しボーっとしてた、と答えると、注文をする為に店員を呼んだ。

駆けつけたのは、いつもの気さくなオバチャン。

ミズキと俺は共に中華丼を頼んだ。

俺は新人のインドカレーの店員さんじゃなくてよかったとホッと胸をなで下ろしていると、


「インドカレーの店員さん今日は居ないね」


ミズキが笑いを堪えるように言った。


「えっ!?ミズキちゃんも、あの色黒の店員のことインドカレーって呼んでたんだー」


自分と同じ事を考えていたのかと、思わず笑ってしまった。

そして、何となく嬉しかった。


「ウン。でもそう呼びだしたのはリエなんだけどね。
あっ、リエって言うのは昨日瞬クンに携帯を渡した子のことね」


あ、そうなんだ…
それ、ちょっとガッカリ…
…何て感じた事にも少し戸惑って、俺は随分下手くそな笑顔を見せている気がした。



…それにしても、今日が初対面とは思えないように話が弾む。

きっとミズキは、O型なんだろう。

多分間違いない。
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