ケータイ彼女に恋して


聞きたい事が山ほどあるけど、向かいに座るミズキがとても楽しそうに笑うから、ついつい後回しになってしまう。

というか、無邪気に笑った顔が可愛くて。


本当に今日初めて会ったとは思えないほどに、ミズキは他愛もない話を次から次へと繰り出しては、俺の口元を緩ませた。

俺は喋り続けるミズキの話を聞きながらも、その笑顔を眺めていた。


暫くすると、熱々で美味しそうな中華丼が2人の元に運ばれてきた。


『いただきます』


揃って手を合わせて、食べ始めた。


「ここの中華丼はホントに格別で…って、
あーっ!!」


俺はミズキの行動に思わず声を上げてしまった。


「なな、何で…うずらの卵から食べるんだよ?」


そんなの人の勝手なんだけど、思わず自分の中での定義が狂わされて…


「え!?うずらの卵を最初に食べるのは基本じゃん!」


そう言ってミズキは、ご満悦そうに喉を揺らす。


「うずらの卵は、中華丼のメインディッシュなのに…」
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