ケータイ彼女に恋して
疑問の全てを晒して、俺はミズキの顔を眺めた。
ミズキは俯いてしまい、返答に困っているのか口を開こうとしない。
俺は別に困らせたい訳じゃないから、
「別に怒ってるとか、誘われて迷惑だって言ってるんじゃないからね」
と、付け足した。
長く感じられた30秒という沈黙の中、
ミズキは静かに口を開いた。
「…私、恋がしたいんです」
質問の答えでも何でもない、予想外のミズキの返答に俺は思わず、
「えっ!?」と聞き返した。
「あ、いや、だからその…」
ミズキも自分が間違った発言をしたと思ったのか、しどろもどろになる。
そして更に少しだけ押し黙った後、こう言った。
「タイプなんです。
瞬クンは…私のタイプなの」
その言葉に俺は戸惑うしかなかった。
でもそれなら…
うん。それなら俺の疑問の答えにも合点がいく…
ような気がする。
そんな俺をよそに、ミズキは淡々と話を始めた。
「…だから、昨日リエと一緒にこの料理屋で食事してる時に、瞬クンを見つけて…それで気になってチラチラ見てたら、瞬クンが店を出た後に、携帯を忘れてるのに気が付いて…
それで慌てて…私も店を出て辺りを見渡したんだけど、瞬クンの姿が見当たらなくて…」