ケータイ彼女に恋して


「うぃーす」


ろくに目も合わさず、顔は下を向いたまま、挨拶とも言い難い言葉を投げかけるのは、職場仲間の大貴(だいき)。


朝、目が覚めて、意識がしっかりし始める頃には、仕事の朝礼が始まっている。

その中をいつも遅れてやってくる大貴。

コイツは、21歳で俺より4つも年下だ。


にも関わらず、タメ口で話しかけてくる。


上下関係の厳しい環境で育ってきた事もあって、年下のクセにタメ口で話す大貴にビシッと一言、言ってやろうかと思うが…


器の小さい野郎だと思われるのも癪なので、やめといている…


きちんと注意できない事が、器が小さいのではないか…と思われているかもしれないが…


どちらであろうと、グチグチと考え込んでしまっている時点で、


既に俺は、器が小さいようだ……
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