ケータイ彼女に恋して
第三章・アキらめない

心情


小さな少年と少女の目線の高さまでに落ちた太陽は、2人を真っ赤に真っ赤に染めている―…、


『みっちゃん…空に何かあるの?』


少年は、空を見上げる少女を見つめて目を見開いている。


『川があるよ…。キレイなね、川があるの』


少女は、少年から受けとった青いハンカチをギュッと握りしめたまま呟いた。


『川?…川なんて空にはないよ』


少年は、さも自分が真っ当なことを言っているかのように少女に言った。


『今はね。
瞬クン、空にはね、天の川っていうキレイな…星でまたたく川があるんだよ』


『へぇ〜そうなんだ〜』


『うん。そして私が言いたい七はね。

七夕のことなの』


少女は目を輝かせて、少年を見つめた。

そして意味のわからないといった顔をする少年に、少女はニッコリと笑ったあとに、続けて言った。


『…お父さんがいなくなっちゃうから〜

私は七夕になるの!』
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