ケータイ彼女に恋して

「あぁ、それはナツ…」


途中まで言いかけた所で俺は、口を滑らせた事にハッとして言葉を止めた。


「ナツ!?」


そう声を上げた大貴は、何それ?と言わんばかりの顔を俺に向けている。


しまった…。
頭痛のせいで頭がボーっとしてるからといって、思わず口が滑ってしまった…。

俺は仕方なしに、大貴に待ち受け画面の説明をすることにした。
どうせ、上手くはぐらかす事も、頭の回らない今は、それもままならないから…。


「その画像は、俺の好きな女の子のナツって子が書いたブログのイラストなんだ」


ケータイ小説作家だという事だけは伏せて大貴に説明した。
どうせ、大貴にはケータイ小説の魅力がわかる筈もないし。
説明するのも今は面倒だ。



「ブログって何?」


大貴は驚くべき返答をして、俺の頭の痛みを悪化させた。


マジ!?ブログ知らないのかよ…
本当に平成時代を生きてる人間か…?

そう言いたかったけど俺は言わなかった。


「ブログって言うのは、日記みたいなもんだよ。それをインターネットで公開してるんだ」


「何で?日記なんだろ?普通は隠すもんなんじゃないの?」


オマエは昭和初期の人間かっ!?
俺はそう思ったけど言わずに、


「読んでもらいたいからなんじゃねーの?」


あくまで客観的に説明した。これじゃ、ケータイ小説の魅力なんて話しても理解は難しいだろうな…
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