ケータイ彼女に恋して


大貴は俺と同じく、周りの人間を観察する洞察力に長けていると自負してるヤツだから、

もしかしたら、書いてないと呟いた俺も実は書いてるんじゃないか、大貴はそう感じたから、多分こんな発言をしたんだろう…

仮にそうじゃないにしても、まるで自分の事を言われてるようで、内心ドキッとした。


俺は気持ちを落ち着かせるように、煙草に火を点けた。



そして、煙草を吹かしながら、数秒考えた後に、こう答えた。


「俺は、ケータイ小説書いてる」


呟くでもなく、大貴の目を見てハッキリと俺は言った。

大貴がその言葉を聞いて、どう感じたかはわからないけど、背中まで伸びたその長い後ろ髪をゴムで束ねながら言った。


「見せてよ」

「やだ」

「何で?」

「笑うから」

「笑われるモノ書いてんの?コメディ?」

「いや…恋愛…」


「じゃあ笑わない」


大貴は真顔で受け答えする。
俺は頭痛に額を抑えながらも少し笑顔。

それは恥ずかしさを隠す笑顔かは自分でもよく分からない…
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