ケータイ彼女に恋して


色んなこと考えたって、

色んな風に悩んだって、

恋は魅力的。

きっと死ぬまで恋してる。

ずっと恋してたい。

愛なんて、いつたどり着けるかわからない壮大なテーマに、死ぬまで悩むより、

相手を思い続ける恋が永遠に続くほうが、ずっと素敵だ。

お互いが恋しあう気持ちの延長線上に、愛がほんのり顔を出す。そんな恋愛に恋焦がれる………



はい、バカ。

俺は馬鹿だ……

こうやって、独りよがりしてるから、いつまでたっても成長しない。
自分の頭の中だけは、誰も否定できないからな…
逃げてるだけだ。
人と向き合うことから。


恋愛は一人じゃできないのに…。

誰か俺を、

こんな俺を否定してくれ…


血がカラダを流れる以上、人は温もりを求め続ける……


――――……、



俺は、もうすぐ夏を迎えようという、こんな時期に、

それでも冷たい一人部屋の床の上を、ゴロゴロ…ゴロゴロと転げまくった。

グルグル回る頭の中と同じように。


ナツ…

ナツに、メールしてみようかな…


俺は転がる力を利用して―…、

ゴロゴロと、先ほど投げやった携帯電話に近づき、手を伸ばして、


携帯電話の中に居るナツ、



『ケータイ彼女』を掴んだ…――。
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