ケータイ彼女に恋して
そしてミズキが俺の顔を見た直後、
テーブルの上に置かれた携帯電話が振動した。
ミズキの携帯が着信を知らせている。
「ちょっとゴメン、話してくる」
携帯を開いて画面を見たミズキは、おもむろに席を立ち、部屋を後にした。
「ふ〜…」
ミズキが部屋を出た後、思わず漏れたため息に、
俺は何だか自分が妙にかしこまっていた事を感じた。
両手を上げカラダの筋を伸ばすように広げた。
そして、テーブルの上のグラスを手にとり、殆ど氷しか残っていないカルピスを一気に飲み干した。
話か……
ミズキは俺に何の話があるんだろう…?
改まって言う事でもないだろうに…
でも、
タイミング的には丁度いいかもしれない。
俺も少し話したい。
ミズキの事は何も知らないから。
知るのは確かめる為。
ナツへの恋心を
諦めない為――。