ケータイ彼女に恋して
「わかるよ…」
ミズキは、深く頷いて、両手を結び膝の上に置いた。
「瞬クンの夢って何?」
夢って聞かれたら答えは決まってる。
昔から、16の頃から、25歳の今の今まで一貫して変わらない夢。
「笑わない?」
俺は、真剣な顔でミズキに尋ねた。
「本気なら、笑わない」
ミズキのそれを聞いて俺は答えた。
誰に聞かれても一様にそう告げる事。
「幸せな家庭を築きたい」
まっすぐに、
ひたすらまっすぐに、ミズキの目を見て、俺は力強く言った。
その言葉にミズキは笑うことなく、煌めくような目を覗かせて、
「素敵な夢だね…」
両側の口元を緩ませ、優しく微笑んだ。
「夢…って言う言葉で終わらせるつもりはないし、言葉にすれば滑稽で笑う人も中にはいるけど、
俺にとっては凄く大切で、それこそ他の全てを投げ打ってでも、
叶えるべき目標…
掴むべき夢かな!」
俺は口から煙草の煙を吐き出し、何となしに自分の手のひらを見つめた――…。