ケータイ彼女に恋して
いや、喉が乾いたのはミズキだろ?
心の中で笑った俺はそうは言わなかった。
「そうだな〜。じゃあ、俺カシスオレンジで!」
「お酒いくの〜?じゃあ私はカルアミルク!」
俺が席を立つよりも早くミズキは、室内に設置されてある受話器で注文を取り付けた。
ふーん、結構気も利くんだ。
気が利く女の子。
これ重要。まぁ、俺の勝手な主観だけど。
再び席に座るとミズキは、自分のバッグを手に取りゴソゴソと何かを探してるようだった。
取り出したのは、一冊の本。
その時、本と一緒に何かが床に落ちた。
「何か落ちたよ?」
俺はとっさに、拾ってあげようと、テーブルの下を覗き込んだ。
「あっ!ダメっ!!」
手を伸ばそうとする俺より早く、ミズキは慌てたように、
落ちた何かを拾い上げた。
それは…
青いハンカチ…のように俺には見えた。
「それハンカチ?
…随分ほつれてるけど」
「あっ、ハハ…
コレね、これはね…御守りなんだ。」
ミズキは苦笑いを浮かべながら、ソレをバッグの中にしまい込んだ。