ケータイ彼女に恋して
何を喋り始めるか、好奇の目を向ける、
そんな俺の視線を知ってか知らずか、
大貴はおもむろに声を上げた。
「やっぱり、"花"だよなぁ!」
…何が!?
大貴の突拍子な発言は、今になって始まった事じゃない。
いつもこうだ。
だから、俺もその言葉に頭をフル回転させなければいけないのだ。
「…花か…。何?女にプレゼントでもすんの?」
俺は、頭の中ではじき出した答えを大貴に応えた。
「そうそうっ!やっぱり花を貰って喜ばない女はいないだろ!」
大貴の見た目は、今風というよりは、どちらかと言えばチンピラ風…。
髪は、超がつくロン毛で、背中の半ば辺りまで伸びている。
キリリと整った顔立ちで、初めて会った時には、「コイツは、女を泣かせてきたタイプだな…」、なんて事を勝手に思い込んでたっけ……。
チンピラ風っていうのは、見た目よりも、横柄な態度や仕草から。
これで、キチンと正装したら俳優やっててもおかしくないな。
同性の俺に、ここまで思わせるんだから、大貴の自信タップリな発言も強ち否定できない。
…にしても、
花を渡せば喜ぶ。
なんて、マニュアル通りにはいかないだろ…
なんて事を思いながらも、続けて発言する大貴の言葉に、耳を傾けた…