ケータイ彼女に恋して
「今さぁ、俺に好意を持ってるギャルがいるんだけど、何とかして別れたいんだよ」
別れたい…という割には、目を見開いて意気揚々と話す大貴。
大貴は女の子の事を一貫して"ギャル"と呼ぶ。
…まぁ、そんな事はどうでもいいけど…
「別れたいって…大貴、彼女いたっけ?」
「いないけど〜、俺は付き合う気がないから、遠ざけたいんだよ」
勝ち誇った顔して平然と言いますなぁ〜、この御方は……
「…で、何で花なんだよ?」
遠ざけたいのは、解ったけど、そこで出てくる花は何で?
「去り際までカッコ良くありたいって訳」
大貴はそう述べると、煙草をフゥーっと吹かした。
ってか、分かり易く説明しろよなぁ…
頭の中で、話の内容を簡潔させるなって…!
おかげで、
大貴と話す時はいつもフル回転。
たまに歯車が噛み合わず、全く理解できない事もしばしば。
う〜ん…
「花を渡して別れるのが、カッコいいか?」
結局俺は、答えがわからず、ありきたりな返事をしてしまう。
普通はこれでいいんだろうけど、大貴も俺と同じく
“馴れ合いの付き合いも、薄っぺらい会話も嫌い”
という、面倒な性格が災いして、
時に会話に疲れる…
「花ってさ、花言葉ってあるだろ?」
疑問符を浮かべる俺に大貴は、興奮気味に話し始めた…