ケータイ彼女に恋して
小説なるものを書いている人間が、他人の書いた小説を全く読まないというのは、
随分珍しい事ではないだろうか…
夢を追うなら普通は、知識をつける為にも読んで勉強したりするだろう。
でも俺は今まで、他人の書いた小説を読んだ事がない。
と言うより、
読みたくなかった。
その理由は、
俺の一番キライな言葉が、
『先駆者』だからだ…
人の人である感覚や感情を育てるに反し、意識の成長の妨げにもなるとまで思う。
更に、
『第一発見者』のみが評価される…という、個性の縮小や新参者を切り捨てる今の社会の体制もキライだ…
分かり易く言えば、
例えば俺が
『我が輩は猫である』
という作品を発表した場合、その内容に関係なく、世間では、
『盗作だ』『二番煎じ』だと、批判されるだろう。
例え、自分自身が夏目漱石の存在を全く知らずに、己の才能の開花を感じたとしても…
世間に、
評価される事はない―…