ケータイ彼女に恋して


―――…。


面白い…



めちゃくちゃ面白い…。



梅山ナツの描いた
『小説大恋愛』、その全てを読み終えた俺は、読後の爽快感に打ちひしがれ、


携帯を持つその手は動かず、ただ画面だけを見つめたまま…

妙な寒気を感じて、体をぶるっと震わせていた。


久しぶりに鳥肌が立つなんて感覚を味わった気がする…


……


物語のあらすじはこうだ。


主人公である、女子高生・遥が、

携帯小説サイトで知り合った、薫という男と、一つのキッカケから『交換小説』なるものを始める。


互いにルールを取り決め、交換日記のような形で、一つの物語を作り出していく。


書き進めていく中で、薫の書くメッセージ性の強い言葉や巧みな心理描写に、

いつしか遥は、薫に対し淡い恋心を抱き始める。


そして、その想いをどうしても薫に伝えたい遥は、交換小説の中盤から、薫に対する自分の気持ちを物語に刷り込んでいく。


しかし、それに対し薫の書く言葉は、打って変わり酷く雑で支離滅裂な内容になっていく―…。


書く人物が変わってしまったかのような違和感に疑問を感じる遥は、抑えきれない薫への想いを胸に、

遂に…


"薫に会いたい"と懇願する―…。
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