ケータイ彼女に恋して
恋心
恐らく俺自身が、他の作家には見向きもしなかったのは、
これ以上、自分の信念を揺さぶられたくなかったからに違いない…
信念…
信念て何だったろう…!?
これまで他人の小説なんて読んだ事のなかった俺は、
自分の感性なるものをかき混ぜられたような感覚に陥り、
自分を見失っていた。
初めて、他人の感覚に触れたような…
そんな感覚。
俺は、半ば無意識に…
梅山ナツの描いた小説に宛てられた、読者からの感想ノートを読み始めた…
…―そこには、無数の書き込みがあった―…
延々と綴られる、梅山ナツの作品へ向けての感想の数々…
『面白かったです!』
『胸がキュンとなりました!!』
『感動しました!!』
…その読者たちの思いが綴られた光景に…
何だか…
本当の意味で…
探していた答えが見つかった気がした…