ケータイ彼女に恋して
…―翌日。
気が付くと俺は、職場の朝礼が行われる最中にいた。
いつも朝は、というか寝起きはボンヤリとしている為、目が完全に覚めるのは、仕事が終わる頃だ。
と、言うのも仕事中は、いつも考え事をしていて、ある意味では上の空。
今日の考え事は、
梅山ナツに宛てた感想の返事。
何て返ってくるか、気が気でなく、仕事の合間に何度も何度も感想ノートの確認ばかりしていた。
何て返ってくるかなぁ…
こんな風に考え事をしていると時間の過ぎるのも早い。これは、アインシュタインの相対性理論の一端だ。
燦々と照りつける太陽が、アスファルトを焦がすかのような暑い日に、
木陰で、キンキンに冷えたジュースを悠々と飲んでいる少女の一分一秒と、
室内で、ガンガンに炊いたストーブを我慢比べしている少年の一分一秒とじゃ、
体感する時間が違う。
酷く当たり前の事だけど、同じ時間を長くも短くも感じる事があるって事で、
俺の記憶が正しければ、相対性の一部では、そういう事を…
「…っかれ〜」
発する言葉の頭の部分がよく聞き取れないような挨拶で登場したのは、職場仲間の(年下の)大貴。
……
…どうやら、考え事をしている内に、今日も無事に仕事が終わったようだ…