ケータイ彼女に恋して
「お疲れ〜」
取り敢えずは俺も、労いの挨拶を返した。
…が、
今日の俺は、梅山ナツからの返事待ちで頭がいっぱいなので、大貴の素っ頓狂で破天荒な発言に耳を傾けている余裕などない。
俺がそんな風に頭の中で駆け巡らせている事など、知る由もない大貴は、
いつものように、
自分のタイミングで、口を開いた。
「…月ってさ」
どうやら始まったようだ…
喫煙ルームである、この休憩室には俺と大貴の2人しか居ない為、
当然発せられた言葉は、俺に向けられたものなんだと、
そう思って、大貴に向かって視線を移すも、大貴の目線は、俺を捉えてはいない……
只、前だけを…
一点だけを見つめて
そのマイペースさを存分にさらけ出していた……