ケータイ彼女に恋して

俺の頭の中は、
梅山ナツの事でいっぱいなのに、妙なロマンチシズムを語られても困る。

恐らく大貴のこの姿は、女性と話す時に語る作法であり、

夢やロマンを語る時に、相手の目を見つめるよりも、どこか遠くを眺めるような姿を映す事が、

大貴の中では

"カッコいい"んだろう…


まぁ、それはともかく、俺の前でソレを実践するのは正直やめて欲しい…


確かに、他の職場仲間にはない奇天烈さや、予想外な発言をしてくる事は、

俺にとって、凄く興味の湧く人間であるという事に間違いはない。

けれど、

自分の殻に閉じこもったまま発言するのはやめて欲しい。



大貴は仕事終わりの一服と、一人で旅立ったロマン飛行に充分満足したようで、

おもむろに席を立つと、背中まで伸びた真っすぐな長い髪をゴムで束ね、早々と立ち去っていった。


ぁ〜、これだからB型ってヤツは、自己中心的で困る…


そんな事を感じながらも、休憩室に一人になった俺は、携帯電話を取り出し、

梅山ナツに宛てた感想に対する返答がないかのチェックをした。


う〜ん、まだない…

何をしてるんだ、
梅山ナツは!


何を隠そう、青葉 瞬。
俺自身もまたB型…

自己中極まりない…
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