ケータイ彼女に恋して

  『小説大恋愛』


桜模様のカーテンを両手で勢いよくスライドさせ、窓を開いた。


朝日が部屋いっばいに射し込む―…。


それと同時に、春の心地よい空気が部屋中に充満する―。


鼻を掠める香りが、眠気も覚めやらない私の頭に一気に浸透する。


思わず窓から、誰もいない外に向かって、


『おはよう』


って口ずさんだ。



鳥のさえずりさえも、今日の私には気持ちのいいメロディーに聴こえる。



『薫…。おはよう!』



まだ太陽は東の空から昇り始めたばかり。


だけど、空を見上げると、
何だかキラキラ光り輝いてて…


不意に私の頬を伝う涙クンも、
何だか溢れたキモチが止まらないみたい。



『薫っ!"完成"したよっっっ!!!』



ビックリして、小鳥が逃げちゃう程に、

私は大っきな声で叫んだ――。


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