ケータイ彼女に恋して


―その夜、物思いに耽りながらそのまま眠ってしまった俺に…

一つの懐かしい夢が舞い降りた…。


夢っていうのは、何でこんなにも客観的に映るのだろう。


夢の中で、黒いランドセルを背負った幼ない少年が、

隣りにいる赤いランドセルを背負った少女とブランコに座って、何やら話し込んでいる…。


『ねぇ、みっちゃん?』

少年が丸い瞳を覗かせながら、少女を呼ぶ。

『なに、瞬クン?』

少女はさらに丸い瞳を輝かせ、少年を見る。


『ボクがお父さんになってあげてもいいよ?』

少年は少し哀しい瞳で少女に問う。


その問いに少女は、満面の笑みを浮かべた後に、こう答えた。


『瞬クン、ミィはねぇ。
お父さんが欲しいワケじゃないんだな〜』

そう言って勢いよく、ブランコを漕ぎ始める。


キィコ、キィコと錆びれた音が夕焼けの公園に鳴り響く。
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