ケータイ彼女に恋して


部屋へ戻ると、誰か居るのかと思うぐらいに、人の声がこだまする。


テレビのおかげで、随分と賑やかだ。


それでも…

寝間着を纏い、髪を乾かし、小さなシングルベッドにドスンと腰を掛けると、おもむろにテレビのリモコンを手に取り、ミュートボタンを押す。

これも習慣の為、リモコンに目をやらずに、そのボタンを探し出す。


なぜ、

テレビの電源スイッチではなく、わざわざ消音ボタンで音のみを消すのか…

その訳も俺だけが知り、そして取るに足らない理由だ。


そんな日常の習慣、

一連の流れを経て、

やっと『この時』に辿りつく。



自身のホームページを開く瞬間に…。
< 6 / 164 >

この作品をシェア

pagetop