ケータイ彼女に恋して
少女の答えにあからさまに困惑の顔を見せる少年。
ブランコを漕ぎながらも少女は、振り返って少年を見つめ、こう言った。
『…ないでね。』
キィコ、キィコとブランコは"寂れた"音を鳴らす。
その音で少女の声が聞き取れなかった少年は、耳に手を当て聞き返した。
『みっちゃん?何て?…』
少女は少年を見つめる視線を戻すと、
目の前の大きな夕日に向かって叫んだ。
『忘れないでねーっっ!!』
ビックリして、カラスが逃げちゃう程に、
大っきな声で。
まだブランコを漕ぎ続ける少女の、
表情の見えない顔から流れ落ちたソレが、
風に乗って、少年の頬に舞い降りた。
凄くしょっぱくて、それでいて凄く甘い夢だった……
――――。