ケータイ彼女に恋して
―カランコロン―。
中華料理屋のクセに、店の扉を開ける時に鳴るこの音が、喫茶店に入ったかのような気分にさせてくれるから好きだ。
「イラっしゃませ〜ぇ」
奥の厨房から、店の主人である中国人のおじちゃんの声が店内に響き渡る。
見慣れた顔を見ると心も和む。
どこの席に座ろうかと、俺は店内を見渡した。
日曜日だけあって、客が多いな…
普段なら余りワイワイガヤガヤした空間は好きじゃないけれど、今日は違う。
…でも客が多い…席、空いてるかな…?
…あった。一つだけ空いてた。
4人は座れるテーブル席だけど、空いてる所はここしかないので、仕方なく座った。
隣りには、二人組の若い女の子が同じくテーブル席に座って、楽しそうに談笑している。
何て話しているのか、客が多くて聞きとれないけど、俺にはキャピキャピと聞こえた。もしくは、キャッキャッとはしゃぐお猿さんの様に…
思わず、その若い二人組の女の子の方に目をやった。
一人は、茶髪のロングヘアで厚化粧で色黒。
もう一人は…
……
か、カワイイ…☆
軽くオレンジがかったショートカットで、自然な化粧に猫目が特徴的な色白の女の子。
可愛い…なんて、感じてしまった事に、思わずヤバいと思って首をブンブン振った。