ケータイ彼女に恋して

―カランコロン―。

中華料理屋のクセに、店の扉を開ける時に鳴るこの音が、喫茶店に入ったかのような気分にさせてくれるから好きだ。


「イラっしゃませ〜ぇ」


奥の厨房から、店の主人である中国人のおじちゃんの声が店内に響き渡る。

見慣れた顔を見ると心も和む。

どこの席に座ろうかと、俺は店内を見渡した。

日曜日だけあって、客が多いな…

普段なら余りワイワイガヤガヤした空間は好きじゃないけれど、今日は違う。


…でも客が多い…席、空いてるかな…?

…あった。一つだけ空いてた。


4人は座れるテーブル席だけど、空いてる所はここしかないので、仕方なく座った。

隣りには、二人組の若い女の子が同じくテーブル席に座って、楽しそうに談笑している。

何て話しているのか、客が多くて聞きとれないけど、俺にはキャピキャピと聞こえた。もしくは、キャッキャッとはしゃぐお猿さんの様に…

思わず、その若い二人組の女の子の方に目をやった。


一人は、茶髪のロングヘアで厚化粧で色黒。

もう一人は…

……

か、カワイイ…☆

軽くオレンジがかったショートカットで、自然な化粧に猫目が特徴的な色白の女の子。


可愛い…なんて、感じてしまった事に、思わずヤバいと思って首をブンブン振った。
< 65 / 164 >

この作品をシェア

pagetop