ケータイ彼女に恋して
ヤッベェ…
俺のタイプの女の子…。
首を振ったのは当然、『オマエは梅山ナツが好きなんだろ?』…と、心の中の俺が注意したからだ。
視線を戻すと俺は、あからさまに慌てるようにメニュー表を開いた。
隣りからクスクス、と聞こえる。
その笑い声は、俺に対してなのか…?
いや!
又しても、ブンブンと首を振った俺は、(俺は梅山ナツが好き、俺は梅山ナツが好き)…と心の中で呪文を唱えながら、店員を呼びつけた。
「ハァ〜ィ」
聞き慣れない店員のその声に、メニュー表を見ていた俺の視線は駆けつける店員に釘付けになった。
…いつもの気さくなオバチャンじゃない。
明らかに新人ぽい、その店員は中華料理屋というよりは、インドカレーを作っていそうな程に、色が黒く、
日本語が通じるのか不安になった。
…が、俺は中国に飯を食いに来たんじゃないし、ここは日本。
日本語を話せない中国人が接客をする筈もない…か。
「え〜と、豚骨ラーメンと中華丼。
コレとコレ。OK?」
メニュー表の写真を指差しながら、分かり易く伝えた。