ケータイ彼女に恋して


「謝々(シェ シェ)」


色黒の店員は、俺には目も向けずに、色白の女の子に対してだけ、お礼を言って足早に去って行った。


あのインドカレーのヤロゥ…

どうやら、女性にデレデレするのだけは、万国共通らしい。


俺は煙草に火を灯す前に、色白の女の子に向かって、


「謝々(ありがとう)」


とだけ言って、ようやく煙草に火を点けた。

さすがは中華料理屋、中国人がいても何の不思議もないという…

「プッ」


思わず吹き出したような声が聞こえた。

二人組の女の子たちに目をやると、

「アハハハハ…」

と、笑い始めた。


え…!?


「チョー、ウケるんですけど〜」


色黒の厚化粧の女の子が俺を指差しながら、笑っている。

色白の女の子も堪えきれずに笑いだす。


「私たち、日本人ですよ…?」


そう言って、俺を笑う。


日本人…
そうか、そうだよな…

中国語喋ったから、中国人てワケじゃないよな…



その瞬間―。

一昨日に引き続き、二度目の閃光が…


俺の中を駆け抜けた――…!!
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