ケータイ彼女に恋して
サーッと血の気が引いたような感覚…
顔面蒼白状態とは、この様な事を言うんだろう…
俺は、焦りに焦って、ポケットの中にある物を全て出した。
…財布っ、煙草っ、ライターっ、…
意味もないのに一つずつ確認して、それから両ポケットにもう一度手を突っ込み、掻き回す様にまさぐった…
ない!!
ヤッパリないっ!!
本当に焦った時は、人間乾いたようになり、汗さえも体から逃げていかない感覚に襲われた…
頭の中はかつてない程に、高速でフル回転していた。
さっきの、中華料理屋に忘れたのか…!?
じゃあ、ヤバイ…!!
こんな回転率の高い日曜なら、きっと俺が座ってた席に、もう他の客が…
いや、もしくは既に店員が気付いて、確保してくれているか…!?
兎にも角にも、店に向かうしかない!!
俺は、光の速さで、中華料理屋"春夏秋冬"に向かって走った――