ケータイ彼女に恋して

プルルルル、

プルルルル…


そのコール音の長さが、俺の不安を増幅させる。

冷静に考えると…

そもそも電話に出てくれるのかって思うし、

インドカレーの店員が出るのか、はたまた2人組の女の子が出るのか…?

不安は募る。


ブーッ――。

公衆電話の音が、俺の携帯電話と繋がった事を告げた――。

俺はゴクリと喉を鳴らし、口を開いた。


『…も、もしもし?』


誰だ…?一体誰なんだ…!?


『ハイ、もっしー?』


…女!!?

受話器から見知らぬ女の子の声が響く。

『あ、もしもし?

…それ俺の携帯だよね?…もしかして拾ってくれた人かな?』


『いーや、違うよ〜ん!』


違う…?
チガウとはどういう事だ…!?

俺の携帯じゃないのか?

不思議に思って公衆電話を見た。ディスプレイに表示される数字は、紛れもなく俺の携帯番号。


それに、俺の携帯電話に出て話してるのは紛れもなく、この女の子だから、拾ってくれた人って事に繋がるんじゃねぇの?
そんな疑問をよそに女の子は言葉を続けた。


『んーと、拾ったのはねぇ、ミズキだよ!

…でもミズキはもう帰っちゃったから〜!アハハっ』


受話器越しに聴こえる女の子の声は、聞き覚えがある。

でも"アハハ"と笑う意味はわからない…

何なんだ、この女。
それ、俺の携帯電話だろ!?

早く返せよ!…なんて事は口が裂けても言えず…


『えっと、今どこにいるのかな?

俺そっちまで取りに行くから、場所教えてほしいんだけど…』


『え〜!?場所ぉ〜?えーと…


……』


えーと…からが長い!もしかして遠い場所なのか…?



『春夏秋冬の向かいのぉ

、サークルKだよ!』
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