ケータイ彼女に恋して


至福―…。


その喜びを味わう為、今日も携帯の画面とにらめっこする。

うん。

笑いあってはいない…

あくまで、相手は只の携帯で…
見つめているのは、目も耳もない画面だ。

喋りもしなければ、話を聞いてもくれない。


温かみを感じる時があるとすれば、


充電器を繋いでる時ぐらいだ。

普段は、人との繋がりを築く着信をまるで鳴らさないクセに、

長時間、握りしめていると、

たまに…

「熱っ」

と、情けという名の情熱の痛みをくれる。


…それでも、


この『携帯電話』は、

いつかは出会いをもたらしてくれる。

―繋がりを築いて、絆になっていく。


そんな予感がする―…
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