ケータイ彼女に恋して

リエという女の子から携帯を受けとった後、俺は何となしに…その足で家へと帰った。

また落としたりでもしたら、たまったもんじゃない。そう思ってだろう。


その日の夜――。


俺は布団に横になりながら、色んな事を考えた。

考えた…というよりは
"考えさせられた"という方が正しいか…



『依存』

…もし、あのまま携帯電話が見つからなかったら…

もし、今この手元になかったら…

俺は今、何を思っていただろう。


何も携帯電話に限った事じゃなくて、

自分にとって生活の一部とも位置付けられた、"依存"したモノが無くなったとしたら…

俺は何を思うんだろう…?

それは、

"寂しい"って感じるんだろうか…


もし、そうだとしたなら、手元に置くだけで、傍に在るだけで、

寂しさを拭っていた存在って言えるんだろうか…


これが人なら……


―――……


その夜、そのまま眠ってしまった俺は、

"また"夢を見る事になる――
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