ケータイ彼女に恋して
空…。揺れる葛藤
……――、
沈みかけの赤い夕日。
少年はその太陽を眺めている。
キィコ、キィコと鳴らすブランコの音が聞こえる。
漕ぎ疲れた少女が、少年の隣りで涙を流している。
『みっちゃん…、何で…泣いてるの?』
少女の涙に、少年まで泣きそうな顔をして尋ねる。
『…寂しい…から…』
少女は頬を伝う涙を袖で拭いながら答えた。
『何で寂しいの?』
少年は眉を歪ませながら、青色のハンカチを差し出した。
『会えなくなるから…だよ』
少女は、差し出されたハンカチを手に取ると、涙を拭わずに両手で強く握りしめた。
そして、言葉を続ける…
『"七"って聞いたら…何を想像する?』
少女は少年を見る事はせずに、握りしめたハンカチをひたすら見つめている。
『ナナ?…ナナって数字の7!?』
『…ウン…』
『…そうだな〜……
ナナイロ!!…うん、
"虹"かな〜ぁ』
少女は少年の言葉に、赤い夕日よりも高く、
高く…目線を上げ…
空を見上げた。
『虹もいいね!
…でもね、"七"は他にもあるんだよ?』
少年は少女の言う意味が解らずに、同じように空を見上げた――。
―…
…