ケータイ彼女に恋して

コメットという作家の描く作品は、タイトルを読んで字のごとく、

小説作家に恋をするという内容で、俺がこれから書こうとしているモノの、まさにそれだった。


先駆者がいた…

俺は、分かり易い程にガックリと肩を落とし、
茫然自失した。


コメットという作家は、知名度が高く既に人気を博しており、
無名の俺なんかとは比べものにならなかった。




震えた。

カラダが震えた。

俺が…
同じように、小説作家に恋をした作品を公開したら、

俺は…
どう思われるんだろう…



盗作だって…

言われんのかな…

二番煎じだって…

思われんのかな…


頭の中では解ってる。

こんな事は、悩むことでも葛藤する事でもない。

そんな必要ないって。


でも、

怖かった。




『ナツ、好きだよ』



って、言いたいだけなのに…

そう、伝えたいだけなのに…


もしも、

ナツが、梅山ナツが…

もしも、


コメットさんの作品と一緒だね、とか

似てるね、とか

俺の気持ちの想いの先を…感じる前に、


そんな風に思われる事が、




怖かった―……
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