ケータイ彼女に恋して
悩んだ。
ひたすら悩んだ。
時間にしたら、少しの事。それでも、頭の中では無限の波が押し寄せてた。
俺は、一度閉じた携帯電話を開いた。
画面に映る文字に、
気持ちが癒された。
『梅山ナツ』
その名前を見た時、
何だかくだらない事で悩む自分がバカバカしくなった。
「オマエの、梅山ナツに対する気持ちはそんなものか?」
心の中にいた
弱い自分を、
消えかけていた
強い自分が諭した。
「"似てる"なんて思ってるのは、他人でもなく、正に今の
"オマエ自身"なんじゃないのか?」
気持ちの中の、小さな強い自分の声がハッキリと聞こえた。
「上辺だけを見て、勝手に落ち込んでるのは"オマエ自身"だろ?」
その声に背中を押されるようにして、
俺は、
コメットという作家の作品を読んでみた。
――、
…違う。
似てるけど、確かに違う。
似て非なるモノだ。
俺は、自分の気持ちと、その想いを明確にする為、梅山ナツにメールした。