ケータイ彼女に恋して

その日の夕方―。


俺は、ミズキという女の子と会う為、出掛け支度をしていた。

別に意識してる訳でもないのに、女の子と待ち合わせするなんて、凄い久しぶりで、

何だか少し緊張してる。

そもそも解らない事だらけだ。

携帯拾ってくれて、お礼をするのは俺の方なのに、向こうから会いたいなんて言ってくるなんて。

謎だ。


気合いを入れるのも変だし、かといって部屋着で行く訳にもいかない、という事で、俺はそれなりの格好をして家を出た―、


待ち合わせ場所は、中華料理屋"春夏秋冬"。

相手のミズキという女の子が、指定した。それを拒む理由もないので、俺もそこで納得した。

と言うより、家から近いから、即決だった。


待ち合わせの店の前に5分という早さで着いたが、彼女はまだ来ていない。


時刻は、午後6時半。春も終わりを告げるこの頃だけど、日はまだそんなに長くなく、外は多少薄暗い。

俺は煙草をふかしつつ、日が沈みゆくのを眺めながら、ミズキという女の子を待った。
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