ケータイ彼女に恋して
俺とミズキという女の子は、向かい合うようにして畳敷きの席に座った。
何だか、向き合うにも照れクサくて、俺は意味もなく店内を見渡した。
「…突然呼び出したりしてスイマセンでした」
俺の動きを静止させるかのように、彼女が口を開いた。
「ん?…あーイイよイイよ。どうせ暇だったし」
そう答えて彼女を見た。
その瞬間―、
ドキンッ!!
俺のハートが金属音的な音を立てて、体中に鳴り響いた。
俺はとっさに自分の胸を右手で抑えた後、もう一度彼女を見た。
何だか、この音が彼女にまで聞こえてしまったんじゃないかって動揺して。
「…どうかしました?」
ミズキという女の子は俺を不思議そうな顔で見つめた。
ハイ、どうかしました。
俺どーかしてます。
と、言う訳にもいかず、
「あ、いや。携帯がブルったような気がして」
と、苦笑いで答えた。
それに対して、「あ、そうなんですか?鳴りました?」とニッコリ笑う彼女を見て、
俺は不覚にも、
カワイイ…☆
そう再び思ってしまった―。