Storm -ただ "あなた" のもとへ-

「大丈夫。
 自分でやる。
 今日のおまえの拘束時間はもう終わっている。
 少し休んだら自分でベットに行けるから。
 いいから、下がって」


綺樹は微かに笑みを作るとタオルを涼の手から取った。

微笑みをたたえた瞳で見つめられ、追い出されるような気分で涼は部屋を出た。

使っている使用人用の部屋でシャワーを浴びる。

自分の中の矛盾に歯噛みしていた。

わがままを言い、甘えて欲しい。

雇用関係を強いたのは自分なのに。

一つ呼吸をしてから居間をのぞく。

思っていたとおり、綺樹は眠り込んでいた。

綺樹の傍らに膝をついた。

タオルをとって軽く顔をふき、手を拭いてやる。 起きる気配はなかった。

抱き上げると寝室へと運ぶ。

うわがけにくるんでやり、ベットに腰をかけたまましばらく寝顔を見つめていた。
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