Storm -ただ "あなた" のもとへ-

  *

涼は日本を出る前に2か所だけ立ち寄った。

祖父の墓前と育ての親であるライナだ。

墓は、いい。

しゃべらないから。

問題はライナだった。

予定を伺う電話からして不機嫌で、会ったら怒っていた。


「ラナさん。
 そうかっかしないでよ」

「悪いわね。
 これが普通よ」


日本人にしては大きく、くっきりとした目がぎろりと睨む。

綺樹よりライナの方がよっぽどスペイン系の顔立ちだ。

涼はため息をついた。


「ところで、何に怒ってんの?」

「何にと思う?」

「覚えがありすぎて、検討が付かない」


ライナは諦めたように長く息を吐いた。
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