Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「この所、毎日じゃないか?」
マダムの館。
私の娘たちの館。
フェリックスの視線が強くなった。
「だから、なんだ?」
綺樹は窓の所まで行くとそのまま沿って歩く。
「なんと噂がたっているか知っているのか?」
フェリックスはにやっと笑った。
「心配してくれるのか?
おまえのことだ、してやったりと思っただろう?」
綺樹は体をフェリックスの方に向け、窓に寄りかかった。
明かりから外れているため、綺樹がどういう表情をしているのか、今一掴めなかった。
「フェリックス。
なぜ、誰かと結婚しないんだ?
候補はいくらでもいるじゃないか。
それか、まともなのを恋人にしておけばいいだろう?
とっかえひっかえしたって、たいした悪い噂はたたないよ。
男の場合にはね」
最後のは皮肉なんだろう。
フェリックスは肩をすくめた。