Storm -ただ "あなた" のもとへ-
*
「あなたは自分がどういうことをしたかわかっているのですか?」
自分がいらただしげに、父親に向って言っている。
一人がけソファーに座っている父親は半目したままだった。
フェリックスは自分が夢を見ているとわかっていた。
これはこの間の情景だ。
「女王が2回まで見逃してくれたのは奇跡ですよ。
今度、同じことをしたら」
フェリックスは言葉を切った。
フェリックス自身、一体どういうことが起きるか検討もつかなかった。
父親は指でトンっと肘置きを叩いた。
「まったく、あいつらは無能だ。
殺せと言ったのに、楽しみおって」
「そういう問題じゃないでしょう」
父親はじろりと睨み上げた。
「このままでは私たちに昔程の繁栄はない。
武器商人にならない限り。
ならば私たちが消されても、おまえがここに食い込んだならばよい。
根を生やし、養分を吸い上げ、新たな繁栄の始まりだ」