Storm -ただ "あなた" のもとへ-
3.投げられた小石
*
縁が切れたから、もはや関係ないという立場を貫けなかった。
なんせ騒動を起こした張本人だ。
何かと、西園寺の動向には気をかけていた。
会長が死んだと同時に、社長が入れ替わったのだから、話題は呼ぶ。
そこはさすが成介だ。
上手く御しているらしかった。
もう目を放してもいいだろうかと思っていた矢先に、訃報が舞い込んできた。
成介の最愛なる妻の死。
新しい命が手元に残ったのだけは幸いだった。
少し迷ってから電話をした。
「もしもし」
それだけで誰かわかったらしい。
「久しぶりですね」
ややぶしつけな口調で返してきた。
静かに怒っているらしい。