Storm -ただ "あなた" のもとへ-
ん、これはなんだ。
コンピュータの画面に身を乗り出した。
数字のミスを見つけて綺樹はマウスを動かした。
「男と寝ている最中かもしれないのに、あえて電話をしてきたの?」
まだ半分上の空で綺樹は言う。
「おまえ・・・明日のチャリティーを忘れてないか?」
フェリックスの声の調子がきつくなった。
「昔から親交が深いのだから、当主が顔を出さないと不味いと言った覚えがあるんだが?」
一気に頭が切り替わった。
「明日?」
傍らの予定表をめくる。
「自分でグレースに言うと言っただろう」
「ごめん・・」
すっかり抜けていた。