Storm -ただ "あなた" のもとへ-

   *

チャリティパーティーには、ぎりぎりで滑り込めた。

ほっと肩で息をする。

これでフェリックスにとやかく言われなくて済む。

会場を見回してフェリックスがエスコートしている女性に目が止まった。

珍しくフェリックスが妹以外の女性を同伴していた。

貴族出身のトップモデルだ。

綺樹もコレクションや雑誌で見たことがある。

背の高く整った顔をしたフェリックスにお似合いだった。

やはり一瞬胸が痛かった。

元々、このようにフェリックスが女性をつくるまでの間、利用してくれとこっち
から言ったのに。

綺樹は着いたとを一言言おうと足を踏み出したが、躊躇してきびすをかえした。

どうせ気づいているだろう。

ここの主人にウルゴイティが間違いなく来ていることをアピールしたら、さっさと引き上げよう。
< 194 / 448 >

この作品をシェア

pagetop