Storm -ただ "あなた" のもとへ-
*
チャリティパーティーには、ぎりぎりで滑り込めた。
ほっと肩で息をする。
これでフェリックスにとやかく言われなくて済む。
会場を見回してフェリックスがエスコートしている女性に目が止まった。
珍しくフェリックスが妹以外の女性を同伴していた。
貴族出身のトップモデルだ。
綺樹もコレクションや雑誌で見たことがある。
背の高く整った顔をしたフェリックスにお似合いだった。
やはり一瞬胸が痛かった。
元々、このようにフェリックスが女性をつくるまでの間、利用してくれとこっち
から言ったのに。
綺樹は着いたとを一言言おうと足を踏み出したが、躊躇してきびすをかえした。
どうせ気づいているだろう。
ここの主人にウルゴイティが間違いなく来ていることをアピールしたら、さっさと引き上げよう。