Storm -ただ "あなた" のもとへ-
「ニューヨークに戻らないといけないんだ。
後、早急に見なくてはいけないのはどれ?
やっつけていくから」
言いながら綺樹は携帯を耳に当てた。
「2時間後にジェットが出れるようにしておいて」
フェリックスは綺樹の傍らに行くと、無言で書類を分類しだした。
綺樹は離れるように入れ替わりで立ち上がると、コーヒーを手に取った。
首筋が凝る。
頭を回して痛みに顔をしかめた。
視線を感じて顔を向けると、フェリックスが見ていた。
「何キロだ」
「なに?」
意味がとれなかった。
「何キロやせた?」
そういう話か。
綺樹はため息をついた。
「やせたか?
体重計に載っていないからわからないな」
コーヒーカップを置くと、席に戻った。