Storm -ただ "あなた" のもとへ-
成介は軽く目を閉じた。
これでは八つ当たりだ。
「すいません。
言い過ぎました」
「本当だ」
笑ったように返してきたが、力なく、かすれていた。
「そうしたら。
我に返って、恨んで、後悔していたら。
拾ってやって」
限りなく寂しそうだった。
成介は胸の内でため息をついた。
この人を今更、責めてどうする。
「そうですね。
そうします」
「その時は、性根が入れ替わって、よく働くだろうよ」
ふざけた調子だったが、声は沈んでいた。
「だといいんですがね」
息を吐くような笑い声。
「それで、子どもはどっち?
名前は?」
「女の子です。
花蓮、とつけました」
「カレン?」
漢字の説明をする。
「そう。
いい名前だね。
お祝いを贈るよ」
「楽しみにしています」
遠慮の無い返答に、くつくつ笑う声がして電話が切れた。